「芸者って、かたわなところがあるかもしれない。普通の女になるなんて考えていないわ。結婚なんて考えていない。お妾さんになれること、ただそれだけでいいの!」と言ったユジンの言葉が胸に突き刺さりました。ユジンは、自分自身を知ること、自分一人で自分の中の、その当たり前の真実に気づいていたのです。私は、ああ、ようやく、私と対等に語り合える相手が現れた。かなり不遜に聞こえるのを承知で言うのですが、率直に、そういう思いだったのです。まさに、一瞬にしてすべてが見えたように思えました。私は自分のことしか考えていなかったのです。自分さえよければそれでいい、ユジンのことなんか、考えたことがなかったのです。私は、ただ生きているうちに自己をを考えず、知らず、ただただヤルだけの恋愛などだけを自分の幸せと思ってきただけだったのです。ようやく語り相手として現れたユジンを失いたくないと強く感じました。
「ユジンごめんねっ、僕は自分のことしか考えていなかった。」と言いました。ユジンは、
「わたしの本心がわかってくれましたか?ジュンサンのお妾さんになることが最高の幸せなのよ。」
「ユジンの気持を知って、新約聖書の一節を思ったんだ。それはね『愛は寛容であり、愛は情深い。またねたむことをしない。愛は高ぶらない、不作法をしない。自分の利益を求めない、いらだたない、恨みを抱かない。不義を喜ばないで真理を喜ぶ。そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。』ユジンの愛はまさにこのことだと思った。」
私とユジンはベットの中に入りました。ユジンの胸にはもうバスタオルは巻かれていませんでした。ユジンは体も心もすべて私にさらけ出しました。私たちは自然と愛しあっていました。ユジンの愛液で濡れた中に私が入るとユジンは初めて声をあげました。ユジンは女になっていました。「お妾さんにしてね、ジュンサン。」とまたユジンは確認するかのように言いました。私は「うん。」と頷きました。
「今日は、朝までお話して、ジュンサン。」と言ってきました。
「本で読んだんだけれど、『引き寄せの法則』って知ってるかい?ユジン」
「ううん、知らない。お話して。」
「自分が不満に思っている事を考え始めたことはないかい?そして、それを考えれば考えるほどひどく思い詰めてしまったことはないかい?」
「あるわ!よくある。」
「それはねユジン、ある事を持続的に考えていると『引き寄せの法則』が作動して似た思考がどんどん引き寄せられてくるからなんだよ。数分でそれに似た不幸な考えが次々と浮かんでくるんだ。そして、状況がさらに悪化してしまう。心も乱れてしまう。それとは逆に良いことを考えるんだ。ユジンが欲しいものを思い浮かべ、意識をしっかりとそれに向けると、毎回良いように思ったとおりにそれを与えてくれるんだ。ユジンが何か欲しいものに意識を持続的に集中させると、宇宙はその最大の力で、その欲しいものを呼び寄せるんだ。」
「わたし、ほしいのはジュンサンだって思ったわ!」
「そうなんだよユジン!人生にはいろいろな喜びが与えられている。その最も大きな喜びの一つに僕はユジンのとりこになったんだ。」
こうして、私とユジンは朝を迎えました。朝食をホテル内で食べ、ユジンを新宿駅にとどけ次に会う約束をしてわかれました。
続く