T子の子供たちが春休みに入って間もなく、そのメールが私のもとへ届きました。「子供たちを、スキースクールに三泊で行かすことにしたのよ。ねぇ私たちもどこかに旅行に行きましょうよ。近場でもいいから連れてって。」T子からのメールを読んだ意外な事実に心をうたれ、暫く、ぼうっとしていましたが、さっと、烈しい喜びが心にわき起こりました。明るい、人間のもっとも曇りのない、すべてを肯定する喜びが、自分の心にいっぱいにしているのを感じました。「近場でいいなら、熱海か箱根にしょうか」と言うとT子は「うん、うん、どこでもいい。今日からスクールに行かせたから明後日からでもいい?」「うん。いいよ。早速、宿をさがすね。」「わぁ、嬉しい!」不意に、忘れていた喜びがT子の心の中で渦巻きはじめ、山肌の青い草のように燃えさかっていき、心もからだもつつまれているようでした。私は、早速宿を予約しました。T子とは、はじめていく旅行です。もうあと二日で二人だけの旅行になるよろこびが、体中にしみこむような気がしました。
その日、昼にいつもの場所で待ち合わせました。T子は荷物を持ってかけてきました。「ごめんね遅くなって。おにぎりを作ってきたの。」T子はバックの中から、まだ温かいおにぎりを取り出すと「お昼まだでしょ?食べてね。」私は車を走らせ片手でおにぎりを食べました。T子はもう悲しみを通り越したようで、互いに口には出さなかったが余程心は解けていました。
車は東名から厚木道路に入り熱海の目的地にむかいました。旅館に着いたのは三時を過ぎていました。部屋は和室で二間と露天風呂のついた豪華な部屋でした。「素敵なお部屋ね。ありがとう。今日から二人だけですごせるのね!」T子の心から流れでてくるように思える、一筋の熱い思いが、私の体のまわりを取り巻くのを感じ、T子が私を見つめるひとみが益々熱してくるのに気がつきました。私は愛情に体が熱くなりました。私はまだ部屋の豪華さに興奮冷めやらずにいたT子の体を抱きしめそしてキスをしました。T子にも激しい情欲が迫り、煮えたぎる太陽のなかへ、見開いた眼をきらきらさせていました。私たちはしばらくその余韻にひたりながら抱き合っていました。愛情が絶えず光のように私とT子の存在を包み込んでいました。「こういう気持ちになるのは久しぶりだね。」と私が言うと「私もよ」とT子は言いました。
夕飯は会席料理で部屋だしでした。T子は「美味しい!」と言って出された料理を残さずに食べました。
料理の片付けが済むと、私たちの部屋に布団がひかれました。妙に二つの布団がくっついているのを感じました。「大きな露天風呂だから、一緒に入りましょうよ」とT子は化粧を落とすと私の手を引き浴衣を脱ぎました。T子の全裸が眩しいほど眼に焼き付いてきました。私はT子の裸体を優しくタオルで洗いました。T子の全身をくまなく洗いました。T子の茂みに手が触れるとT子は吐息をつきました。私の体もT子が洗ってくれました。すでに大きくなっている自身を見られるのが今更ながら恥ずかしく思えました。湯船の中に二人で沈みました。温泉特有の薫りはあまりしませんでしたが、私がおどけて頭まで潜るとしょっぱい味がしました。
露天風呂から出たばかりのT子の肌は赤く熱っていました。私たちはそのまま布団の中へ入りました。私はT子の熱った体を抱きしめそしてキスをしました。「もう、体は大丈夫なの?」と聞くと「大丈夫よ。だから愛して。」と言って私に抱きついてきました。私たちは夜がふけるまで愛し合いました。
続く